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2015. 10. 04  
さて、前回の記事からずいぶん時間が経過してしまったが、あらためて昭和初期に突如現れた「雲岳」というの謎のコンクリ仏師に迫っていきたいと思う。

とその前に時間が空いてしまったため、これまでのダイジェストからご覧ください。

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春日井市松河戸町、観音寺にあるコンクリート製・小野道風像。

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銘板には作者・雲岳と寄進者・山口悦太郎の文字がある。

雲岳の名前は現在のところこの小野道風像と、隣のコンクリ製弁財天(昭和6年?)、
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そして岩崎御嶽山のごく一部の像と、

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勝川大弘法周辺にのみ、その名が刻まれているが、その出自から全てが謎に包まれている。もちろんインターネットにも情報はない。
しかし、昭和3年〜6年にかけてこの辺りで大きな仕事をしているようだ。
そこで、何か手がかりになるものはないかと地元の図書館を訪ねた。

IMG_5050.jpg
すると図書館の道風コーナーで見つけたのは地元の方が編纂した「保存と顕彰の歩み」。
表紙にはコンクリ製道風像が使われている。
これは期待できるかもしれない。そう思ってページを手繰ると、一つのページで手が止まった。

IMG_5039.jpg
それは鳥居松村(春日井市の前身のひとつ)の村長代理による小野道風像の除幕式祝辞である。 
日付は昭和4年9月15日。

(前略)小野道風公ノ立像除幕式ヲ兼ネ七福神ノ一ツナル辨財天ノ奉安式ヲ挙行セラル・・・(以下略)

つまり、道風像と弁財天の除幕式である。ここから、道風像と弁財天はともに昭和4年には完成していたことがわかる(弁財天については『コンクリート魂』に寺の記録から昭和6年作の記載があるが)。

そして、
・・・本村隣接勝川町在山口悦太郎氏ハ武田観音寺住職ニ諮リ自ラ永劫不滅ノ立像建立を企画シ・・・

と、山口氏が私財を投じて永劫不滅の像を建立したことがわかる。
そしてさらにその後、

・・・計画の実施遂行ニ方リテハ武田良道師ヲ始メトシ瀬戸電氣鉄道株式会社站(?)松河戸部落民諸氏ノ?少ナラザル後援ニヨリ・・・

とあるではないか。

瀬戸電気鉄道といえば尾張三大弘法とも深いつながりがあると思われる、名鉄の前身となった鉄道会社である。
祝辞の中に作者である雲岳の名はない。しかし、わざわざ銘板にもないのに名前を出す「瀬戸電」。山口氏、地元民と並び名前を挙げるということはスポンサーとしてそれなりの援助をおこなっていたのであろうか。それはこの小野道風&弁財天が観光資源(=瀬戸電利用促進)としてもそれなりに期待されたものであったのであろうか。

しかし、当時は「瀬戸電」が、春日井に観光に来るための手段とて果たして有効だったのであろうか?現在の駅で考えると一番近くても小幡駅、直線距離でも3km程度は離れている。現在ではあまり関係が大きいとは言えないし、どちらかといえばJR中央線の方が近い。

いずれにせよ瀬戸電とコンクリ像はなんらかのつながりがある。これもいずれ解明していきたい謎である。

そしてもうひとつ、この冊子に重要な記事があった。それがこちら↓
IMG_5041.jpg
雲岳の直筆の書である。
「昭和四年初夏 雲岳」の銘がある。
何が書いてあるか、完全には解読できていないのだが、雲岳の謎に迫る重要な手掛かりになると思われる資料である。


つづく
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